指定文化財区分
市指定文化財 
指定文化財種別
有形文化財 
指定文化財種類
工芸品 
指定文化財名称
瓦製阿弥陀如来坐像 附 瓦製覚
月妙圓坐像・瓦製勢至菩薩坐像
ガセイアミダニョライザゾウ ツケタリ ガセイカクゲツミョウエンザゾウ・ガセイセイシボサツザゾウ
数量
3躯  瓦製阿弥陀如来坐像 
形状
 
年代
江戸時代 
指定日
平成26年1月9日 
所有者名
聖衆寺(真言宗) 
所有者住所
桑名市大字北別所156番地 
管理者名 瓦製覚月妙圓坐像  瓦製勢至菩薩坐像 
聖衆寺(真言宗)  
解説
《 概  要 》
 名市北別所の聖衆寺に伝存する瓦製阿弥陀如来坐像である。地元では、通称「どぶつさん(土仏さん)」と呼ばれている。像高162pを測る県内最大の瓦製の仏像で、瓦職人であった信行によって制作された。信行の作品には、市指定文化財になっている神酒壺(北別所神明社・神館神社)など多数ある。瓦製阿弥陀如来坐像は、もともと本堂にあったが30年ぐらい前に今のお堂に移動した。頭と胴は離れていたが、この時に首の部分を補修した。底裏と右側腰部分に補修した痕跡がある(30年前か)。

品質・構造
 体幹部は全て粘土でつくられ、瓦のように焼き上げられる。表面は基本的に布張り漆下地の上に胡粉で整え、金泥を施す。一部に補修の痕跡がみられる。 附の2点も、同じく粘土でつくられ、瓦のように焼き上げられる。

制作年代等
 現状では確認できないが「天和二年戌八月二十九日信行隠士」の銘文があったことがわかっており、天和2年(1682)の製作である。 信行は時々藩主松平定重のもとに陶器を献上し、定重より報償されたと伝えられ、藩主定重の援助で同寺を再興したという(『久波奈名所図会』)。すると、寺院を再興してほどなくして本像が制作されたと思われる。 桑名の陶磁器と言えば萬古焼が有名である。萬古焼は、沼波弄山(1718-1777)によって、元文年間(1736-1741)に始められた。信行の没年は享保17年(1732)で、弄山と面識があった可能性、また作陶について影響を受けた可能性が十分に考えられる。

《 評  価 》
 本像は、桑名焼きの祖とされる信行の作として、その作陶のあり方を考える上で重要な作例である。また、仏像史上からみれば、巨大な瓦製の仏像という特殊な位置を占める点も注目しなければならない。この2つのことが、相合わさることによって、桑名市の郷土の文化財として、本像の価値はきわめて高くしている。そして、同じく信行の作である2体も含め、後世に残すべき作品と考えられる。