内母神社の石取祭は、多度町香取にある内母神社で10月の第1金曜日から日曜日にかけて行われるお祭です。明治の初めには行われていたことが地元に残る古文書から確認でき、香取・上之郷・西福永・東福永・平賀の5地区によって行われています。この祭は、桑名石取祭の形式を取り入れながら、独自の祭礼へと発展したと思われ、桑名で発生した都市祭礼が近隣へ伝播していった一例として注目されます。中でも造花の桜を奉納する行事は、現在の桑名の祭礼には無いもので特徴的な部分です。奉納された桜は、1年間神社拝殿に飾られ、それを本楽の日に参列者に投与されています。祭車に飾られた造花を縁起物とするのは、尾張地方での津島(津島市)や須成(蟹江町)の「車楽」と呼ばれる祭車の習俗と共通するところがあり、尾張地方との文化交流がうかがわれます。
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