磬はもともと中国の楽器であったが、日本では仏教の勤行の時鳴らすため使用されることが多い。 両肩の鐶は、鈕をつけて磬架に吊るすためのものである。 A 金銅孔雀文磬 この磬は、紀年銘のあるものでは三重県下最古のものである。 中央山形に左右に弧を連ね、両肩に円形鐶を鋳出している。 表裏中央に十二葉単弁の撞座を鋳し、左右に孔雀文を配している。 銘文 表右:妙蓮寺之 表左:仏殿公用 裏右:寛正四癸未 裏左:八月四日時正初日 妙蓮寺
は、寿量寺の旧称である。 B 金銅孔雀文磬 小形の磬で、中央山形に左右に弧を連ね、両肩に扁平鐶を鋳出す。 表裏中央の撞座はやや大きく、八葉複弁文様で左右に孔雀文を有す。 この磬の特色は、地文に陽鋳の梅花文を散らしていることてある。 銘文 表右:寿量寺 表左:日観求之 表右外縁:為妙蓮為菩提也 表右内縁:施主長尾宗己敬白 表左内縁:南無 表左外縁:南無妙法蓮華経 裏右外縁:上久我本清寺常住 裏右内縁:為法界 裏左外縁:慶安貳年己丑
四月朔日(その他裏左下に判読不明の1字有) この銘によると、この磬はもと上久我本清寺の什物であったのが、寿量寺の日観住職の時この寺のものになったことがわかる。
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