曼荼羅は曼陀羅とも書き、サンスクリット語の訳で修法の「壇」を意味する。 古代インドでは、密教の秘法を行う時尊像を作って安置し、修法が済むと壊してしまっていたが、その手間を省くため諸尊を図式に表したものが曼荼羅である。 曼荼羅は表現形式区分と内容区分によって分類されるが、当麻曼荼羅は奈良県当麻寺の曼荼羅及びその模作をいい、遠近法を基本とした阿弥陀浄土変相図である。 浄土の宮殿の前面に阿弥陀仏を本尊に、左右に観音・勢至の二菩薩を配し、その周
囲に多くの菩薩達が阿弥陀仏の教えを傾聴する様子を描いている。 当麻曼荼羅の最大の特色は、周辺部に説話画帯を設けていることである。 説話は『観無量寿経』を絵画化し、その序文と十六観の小図を並べるのが普通である。 鎌倉時代初期証空(1177-1247)によって当麻曼荼羅の転写本の流布が全国的に行われたが、この絵もその流れをくみ、下辺立像来迎式(部分図)で、約八分の一の縮小模本である。
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