『集古十種』とは、松平定信(1758-1829)の命により、全国の神社仏閣や諸家に伝わる名品を模写蒐集し編集したもので、内容を十分類(肖像、碑銘、鐘銘、兵器、楽器、書画、印章、文房、銅器、扁額)したためこの題があるという。 編集は屋代弘賢、柴野栗山、書写は谷文晁、大野泉祐、僧白雲達があたり、寛政十二年(1800)の広瀬蒙斎の序文がある。 集古十種は、日本での分類図鑑としては初めての集大成で、定信の着眼は敬服にあたいする。 ただ、広瀬蒙斎
の序文にあるように、研究の進むに従って資料が尨大となり未収録のものも多く、特に考古資料の省略は遺憾である。 集古十種に付随して『古画類従』五十巻、『車輿図考』十五巻が編集され、定信は何らかの形で集古十種の続編を企画していたと想像されるが、これらは刊行されずに終ってしまった。 鎮国守国神社の集古十種板木は松平家に伝来していたもので、集古十種を刊行する時用いられた板木である。 材質は桜、両面彫りがほとんどである。 刊行当初のものがほとん
どであるが、後代補彫されたものや埋木をして補修したものもある。
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