指定文化財区分

諸戸氏庭園ホームページ

国重要文化財 
指定文化財種別
記念物 
指定文化財種類
名勝 
指定文化財名称
諸戸氏庭園
もろとしていえん
数量
面積 10,481.41平方メートル 
形状
 
年代
明治時代後半 
指定日
平成14年12月19日 
所有者名
公益財団法人 諸戸財団
所有者住所
太一丸18番地ほか 
管理者名
公益財団法人 諸戸財団
解説
諸戸氏庭園は、諸戸家住宅の邸宅庭園で、江戸時代の庭園をもとにしながら近代桑名の豪商諸戸清六が拡張整備を手がけたものです。
この内、邸宅中央部を占める旧山田氏林泉と呼ばれる区域と、これに接する西部の広間(御殿とも呼ばれる)の前に広がる区域が庭園の主要部を形成しています。
邸宅中央部の区域は、『久波奈名所図会(くわなめいしょずえ)』(享保2(1802)年)に山田氏林泉としてみえる近世桑名の豪商山田氏邸宅の主庭であったものを、明治時代に諸戸清六が購入、拡張改修したものです。
東西に広がる花菖蒲(もと杜若(かきつばた))池は、池畔に大きな庭石を豊富に使用し、また、南岸から中島を経て北岸の蘇鉄山へは八ツ橋の石橋が架けられ、見応えある石組景観を構成しています。
池の東には大きな藤棚を伴う藤茶屋、西には推敲亭(すいこうてい)(昭和30年に県指定有形文化財)、主屋に付属する伴松軒(ばんしょうけん)といった茶室が配され、開放的な茶会庭園としての趣をもっています。
花菖蒲・藤等の開花時は一層美しい情景となります。
邸宅西部の区域は、清六が広間等を建築した時に、広間の東正面に新たに作られたものです。
広間から全体を見下ろすように作られた池庭は、敷地を廻る溝渠(こうきょ)を通しての潮の干満により、水位が上下する汐入り形式で、巧みに配された岸の石組みが約1.5mの高低差で2段構成となり、水位によって下段の州浜等が見え隠れする趣向となっています。
池庭を一周する園路には石橋、枯滝石組等が配置され、奥の青石貼りの築山は独創的です。
また、東京の旧岩崎家深川別邸(清澄(きよすみ)庭園)などと共通するところもあり、明治時代の有力者の邸宅にみられる豪壮な広間建築と一体となった池庭の特徴を備えています。
近世から伝わった庭園を整備した旧山田氏林泉と、新たにつくられた明治期の特徴をもつ汐入り池庭とが一つの邸宅庭園として構成されており、明治時代後半に豪商が築造した庭園として優秀なものと言えます。