表紙に政通君遺墨移封記渡邊とあり。 裏表紙に明治廾六年二月孫政敏謹綴焉とある。 政通は『桑名日記』の著者渡部平太夫のことで桑名にて歿〔嘉永元年(1848)3月7日〕し、その子政醇は『柏崎日記』の著者で柏崎詰のまま柏崎に歿した。 〔元治元年(1864)12月12日〕。 政醇の子、政敏は柏崎で生まれ育ち維新後桑名に戻り祖父や父の遺墨を多く整理製本した。 これもその一部であり、渡部平太夫政通が、文政6年(1823)の御国替(白河よ
り桑名へ)に際して、幕命の出た同年3月から御国替完了の同年9月までの間、巨細にわたって出された御触書等を残らず書き留めたもの。 この種の文書は珍しく内容も貴重なものである。
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